いろいろな障害の当事者によるドラマ NHKEテレ「悪夢」

いろいろな障害の当事者によるドラマ NHKEテレ「悪夢」

 12月5日に放送されたNHK Eテレ バリバラ特集ドラマ「悪夢」です。

 統合失調症の真(まこと)が、社会に適応できずにさまよっていると、「健常者お断り」のラウンジに誘いこまれます。そこで真はいろいろな障害者と出会います。ある時、真は謎の男から、不思議な果実をもらいます。この果実を食べると障害はなくなるが、それまでの記憶をなくしてしまうというのです。これを食べるべきか、真は仲間に相談するのですが…さて、真の選択は?

 まず、障害のある当事者が、大勢役者としてテレビドラマに出演しているのに衝撃を受けました。こういう番組は初めて。

 また、統合失調症の症状である幻覚を舞踏のダンサー達が表現しているのも印象的。妄想は少年が演じていますが、最初は妄想の少年とはわかりません。ドラマの最後で彼が真の妄想の産物だったことがわかります。これも面白い。精神医学の本を読んだだけでは伝わらない世界を当事者たちがビジュアル化したのです。

 何より印象的だったのが、ラウンジの女主人を演じた片山真理。彼女は両足の義足を隠しません。そのステージが幻想的で美しい。歌も魅力的です。

 「果実を食べるか否か」という、障害者にとっては究極の選択を迫る展開もいいです。

 番組ホームページでは、「統合失調症×ダウン症のハートフルコメディー」と謳っていますが、私には幻想的で衝撃的なドラマでした。